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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第15章     

 結局、世話になりっぱなし甘えっぱなしの2人に対し、ヴィヴィが出来たお返事なんて下記くらいしかなかった。

「わ、分かったよぉ……。なんか良く分かんないけど、今回は2人に付き合うからさ……」

「よっしゃ! ってことで、気を取り直してカンパーイ!!」

「乾杯……」

 目の前で交わされる、本日何度目になるかも分からぬ乾杯。

 しかも時刻は、まだ11時前だ。

「……もう、しょうがないな~~」

(まあ、ここのところ一杯いっぱいだったし……。週末くらいのんびりしても罰は当たらない、かな……?)

 初めて足を踏み入れる南仏のリゾート地で、青い空と海に癒される――

 そう想像してみると、この不可解な状況も満更でもなくなってきて。

 少しだけ口角を上げたヴィヴィは、再び押し付けられたグラスを受け取ると、

 かぱっと軽快にシャンパンを飲み干したのだった。




 だが――

 パリで乗り継ぎ、目的地であるニースに降り立った途端、状況は一変した。

 オックスフォードから拉致られて7時間経過し、ようやく2人の悪巧みに気付いたヴィヴィは、

 いつもは くりりと愛らしい瞳を迫力たっぷりの半眼に眇め、双子の兄へ にじり寄る。

「クぅ~~リぃ~~スぅ~~」

「………………」

「まさか、私をはめたのっ!?」

「………………」

「……っ 何とか言えやいっ! こんにゃろめっ」

 20cmの身長差をものともせず、兄のシャツの襟元をむんずと掴んだ妹は食って掛かる。

 これまでの22年間、常にヴィヴィの見方で彼女の嫌がる事などした事が無かったクリスは、

 初めて苛立ちを滲ませた妹に詰問され、一瞬にしてしょげ返ってしまい。

「……ごめん、なさい……」

 180cm超の長身に似つかわしくなく、しゅんと金色の頭を垂れたその姿は――

(う゛……。か、可愛い❤ って、そうじゃなくてっ!!)

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