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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第16章
オックスフォードに9日間帰省し、また東京へとんぼ返りした双子だったが、疲労よりも「初めて日本で自分達のショーを出来る!」という興奮状態で、
いつもよりテンション高く3日間に渡った Twinkle ICE in 東京 を成功に収めた。
翌日には即効オックスフォードへ舞い戻った双子を、その5日後――8月10日(土)には篠宮御一行が追い駆けるように渡英してきた。
これからの一週間、毎年の恒例行事である “ロンドン・エディンバラ帰省” に突入するからだ。
「やっと、ゆっくりじ~~っくり、双子と一緒に過ごせるなあ~~♡」
我が子達はちょこちょこ帰国していても日本全国を飛び回っており、中々腰を据えて話す事も出来ないと、父・グレコリーは寂しかったらしく。
双子にとってもこの夏唯一の休暇(近くのリンクには通う)を、ヴィヴィは精一杯親孝行しようと努めていた。
幸か不幸か、産後一ヶ月も経たぬ兄嫁と第二子はさすがに同行しておらず。
だが、二週間後に2歳になる長男・匠斗(&世話係として執事・五十嵐)を連れた匠海は、イヤイヤ期に突入した愛息に振り回されていた。
「脳の前頭前野が未発達な為に、欲求や衝動を抑える “抑制機能” が働かない状態なんですよ」
と目の前で五体投地する子の状態を説明してくれた五十嵐からは、うっすらと疲労が滲み出ていた。
双子のイヤイヤ期で免疫がある朝比奈にヘルプを出そうかと思ったが、彼にとっても今は貴重な休暇期間で実家のフランスに戻っていることを思い出し諦める。
「匠斗~~、水族館、たのし~~よ~~?」
ロンドンの父の実家・オーウェン邸の玄関ポーチに寝そべる子の顔を、しゃがみ込んだヴィヴィが覗き込む。
「たのしくないっ」
「え~~? たっくさんペンギンさんいるよ?」
「い~~な~~いぃ~~っ!!」
「エイにご飯だってあげられちゃうよ?」
「あげない~~っ!」
「エイさんお腹空いたって。匠斗が来るの待ってるんだって」
「まってない~~!」