この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
どこまでも玩具
第12章 晒された命
 もしかしたら……
 縁起でもない考えが湧く。
 彼がここに上がることは二度とないかもしれない。
 二度と。
 写真を切り替える。
 「えっ?」
 見たことある家。
 白い家。
 アカの父の家だ。
 なんで、それが写っているんだ。
 金原と帰る時は撮っていなかった。
 一人で戻ったんだろうか。
 あの後に?
 アカの父はいないはずだ。
 カメラから目を離す。
 見ない方がいいかもしれない。
 ここには、類沢しか知ってはいけないことがあるのかもしれない。
 今の写真だってそうだ。
 でも、未練がある。
 玄関を振り返る。
 帰ってはこないけど、悪いことしている気がしてならない。
 実際悪いことだが。
 言い訳を探しながら、フォルダ画面に移る。
 出来たら消してしまいたい過去が沢山ある。
 あの夜。
 知らない男に体を売った夜も。
 泣きながら逝く俺も。
 怖いくらい生々しくて、でも瞬きすら出来ないほど惹き付けられて。
 息が荒くなる。
 手が震える。
 俺の知らない俺がいる。
 類沢は……とっくに気づいていたんじゃないだろうか。
 こんな俺を見て。
 一週間にそれほど量は撮らない。
 だからだろうか。
 一枚一枚が鮮明に場を再現しているようだ。
 あの最悪な日が近づく。
 屋上に類沢が探しに来た日。
 どんな俺が写っているんだろう。
 ゆっくりとボタンに力を入れる。
 声にならない言葉が漏れた。
 よろよろとベッドに座る。
 朝日が画面に反射している。
 そこにいたのは、真っ直ぐにカメラを見つめた俺だった。
 クッションを抱えて。
 日付は飛んで、類沢が家に夕食を作りに来たときだ。
 いつだ。
 料理を作っているときか。
 睨んでたときか。
 ズームした俺は、口をへの字に曲げて、悔しそうな嬉しそうな曖昧な表情をしていた。
 撮るのもわかる。
 不思議な顔だ。
 俺はカメラに気づいていない。
 類沢しか見ていなかったんだ。
 真正面にも関わらず。
 布団に倒れる。
 こんなの見てしまうと、益々夢のことが信じられない。
 予知夢じゃないんだ。
 でも、確かなこと。
 何が引き金になるかはわからないけど、類沢は裁判に勝てない。
 勝ったら、恐ろしいことが起きる。
 「俺は……どうすりゃいいんだ」
 カメラを元の位置に戻す。
 差し当たっては、勉強道具を取りに行かなきゃ。
/228ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ