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どこまでも玩具
第12章 晒された命

 雅樹が体勢を戻す。
 ボトルを指先で持ちながら、話を促した。
 「類沢先生に交渉したいことがあるんだよな」
 「まあね」
 そこは隠す気はないのか。
 どこが境界かわからない。
 脈が聞こえる。
 喉が渇く。
 「ソレさ、類沢先生に向ける前に、俺に向けてくれない?」
 雅樹は指で差されたものを見下ろし、眉を潜めた。
 「死にたいの?」
 「違くて」
 俺は苦笑しながら否定する。
 そして、嫌な予感が的中したことを悟った。
 西雅樹。

 あんた、今なんて言った。

 指が震える。
 肌に寒気が走る。
 夢に現れた写真。
 俺と類沢に銃を向ける西。
 類沢はその銃口を持って自分に向けていた。
 頭の後ろがピリピリと痺れる。
 「約束だから」
 俺はボトルを奪い、飲み干した。
 その、フリをした。
 雅樹はフッと笑って下に降りて行った。
 足音を確認してから、口に含んだ液体をそばのティッシュに吐き出す。
 あぁ、ダメだ。
 瞼が下がる。
 一口は飲んでしまった。
 布団に身を任せる。
 体から力が抜ける。
 雅樹が来た時点でメールをすれば良かったな。
 そしたら、類沢先生は来ないで済むのに。
 どんなにそれが良かったか。
 だって、雅樹は確実に類沢を殺す気でいるから。
 その覚悟でいるから。
 怖い。
 あんなに淡々と殺意を曝す人間を初めて見た。
 否定、しなかった。
 類沢に釘を向けると。
 釘は凶器。
 凶器は殺意。
 頼むから、約束を守ってくれ。
 その一瞬が大事なんだ。
 あの身体能力なら、それだけで雅樹から奪い取れるはずだ。
 視界が暗くなる。
 世界が遠くなる。
 あいつ……何倍のを使ったんだ。
 確実に俺を眠らせておきたいんだろう。
 邪魔されたくないんだろう。
 聞かれたくないんだろう。
 でも、ごめん。
 俺は聞かなきゃダメなんだ。
 だから薬を吐き出した。
 手足が動かなくなる。
 ダメだ。
 眠ってはダメだ。
 舌を噛む。
 でも力が入らない。
 朦朧とする意識の中で、雅樹の言葉が反芻する。
 ―死にたいの?―
 じゃあ、あんたは誰をヤる気だ。
 それだけはさせない。
 先生。
 迷わないでくれ。
 俺が作った隙を、潰さないで。
 もし、迷ったら?
 それこそ、本当に会えなくなる瞬間だ。
 時間の感覚が消える。
 せめて、早く来て。
 先生。
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