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どこまでも玩具
第4章 放たれた憎悪
 「ほら! ほら、嗤いなさいよ!……嘘つきだって……言えばいい…」
 金原は呆然として仁野を見下ろす。
 それからそっと彼女の手を握る。
 肩を震わせる仁野に何か囁くと、二人はこっちに向かってきた。
 何も知らない素振りで立ち去ろうとしたが、金原の視線が突き刺さる。
 「瑞希、二人きりで話すから」
 帰れ。
 耳を閉じて。
 そういうことだ。
 俺は応えずに玄関を出た。
 つまり、金原は紅乃木よりも元カノが大事ってことだ。
 どこかで期待していた。
 否定するんじゃないかって。
 何言ってんだよ。
 有紗って。
 否定……すんじゃないかって。
 バラす気かよ。
 オレは信じるよって。
 自分のことは言えないだろうな。
 実は瑞希……が……って
 俺は校門に寄りかかった。
 何も、何も今日じゃなくたって。
 携帯を見る。
 着信一件。
 誰からかなんて数パターン。
 紅乃木か。
 母親か。
 類沢、か。
 『話がある』
 「……アカ」
 俺はすぐに指定された場所に向かった。
 最も、それは別れたあの公園だったのだが。
 「アカ!」
 ベンチの背もたれに座っている紅乃木は、あの日から変わったのかよくわからない。
 クルリとこちらに首を回す。
 「久しぶり。みーずーき」
 明るい。
 不自然なくらい明るい紅乃木。
 制服ではなく、真っ黒のジャケットと紫のパンツ。
 朱髪が際立つ色合い。
 「アカ……何日休んでんだよ!」
 「二日くらい?」
 やっぱり明るい。
 なんだ。
 この嫌な感じ。
 「なぁ、アカ。なんかあったんじ」
 「今日なんだ」
 「……は?」
 アカは上着のポケットを指で弾く。
 「完全犯罪?」
 首筋に冷たいものが落ちてきた。
 そう錯覚してしまう寒気がした。
 「何する気だよ」
 「みぃずきを助けるの」
 それ以外にある、そんな口振りだ。
 このジャケットさ、特別仕様でね。
 七つ道具が入ってるんだ。
 ここにはカミソリでしょ。
 あとテープ。
 ここには……
 愉しげな紅乃木の言葉が頭に入ってこない。
 出来の悪いサイレンス映画をみている気分だ。
 自分の口も動いたって音は出さない。
 使えない体。
 「みぃずき、待っててね。もう苦しまなくて良いんだよ」
 狂気。
 「手が使えなければ、仕事出来なくなるだろうし」
 狂気の目。
 アカが、変わった。
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