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どこまでも玩具
第4章 放たれた憎悪
「それは……」
やめたほうがいい。
あいつが何したか知ってるか。
瑞希を襲ったんだぞ。
オレまでヤられたんだぞ。
冷徹さは気づいてからじゃ手遅れなくらい半端ないからな。
何を言えばいい。
「私、せんせー見返してやんなきゃ気が済まないの」
何を言えばやめてくれる。
腐っても元カノだ。
類沢の遊びで陵辱されるなど耐えられない。
しかし、言えば瑞希を裏切ることになる。
「ね、協力してくれる?」
世界は、迷うオレを待つほど優しくはない。
「圭吾となら出来るよ!」
何を?
その問いはぐっと飲み込んだ。
有紗はニコニコ笑って計画を話す。
サボり常習犯の彼女は、授業中にでも保健室に行ける。
そうして、生徒に手を出したら写真に納めて強請ればいいのだと。
そんな簡単に行くわけがない。
一緒にベッドに押し倒されるのが関の山だろう。
「危険だよ」
「で……でもさ、このまま引くわけにはいかないじゃん」
「そんなに類沢が好きなの?」
「すっ、好きじゃないよ。見返してやりたいだけって言ってるじゃん!」
見返してヤりたいだけ、ね。
日が暮れる。
瑞希は無事に家に帰っただろうか。
きっと校外でも奴は連絡してきている。
オレのは口封じ。
じゃあ、瑞希のは何が目的なんだ。
なんでそんなにしつこくする。
なんで何度も苦しめる。
なんで……瑞希なんだよ。
「圭吾?」
「なんでもねぇよ」
「ぼーっとしすぎ」
「そだな」
「ね、明日、私行くからね」
止めても行くからね。
そこまでして、得たいのが類沢なんだから理解に苦しむ。
ホモレイプ犯だろ。
それ以上にはならない。
少なくとも、オレにとっては。
「案外、明日で決着ついたりして」
「そしたら凄えな」
このとき
オレの心を占めていたのは
どうしようもない不安と
無力感
有紗すら止められないオレが
類沢を止められるはずがない
そんな無力感
紅乃木なら
紅乃木なら
なにをするんだろう
なぁ、アカ?