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どこまでも玩具
第7章 阻まれた関係

 知らぬ間に屋上にいた。
 寒い。
 フェンスにもたれて校庭を眺める。
 マラソンに励む下級生がいる。
 体育教師が掛け声をかける。
 それを聞いているうちに頭が冷えてきた。
 なんでここに来たんだろう。
 なんで、あんなに怒ったんだろう。
 有紗に話されたから。
 知られたくないことがバレるのが怖かったから。
 しっくりこない。
 なんでだ。
 絶対自分の口から有紗にアドレスも家も教えたくない。
 まあ家は知らないんだけど。
 そういえば、なんで類沢は俺の家を知っていたんだろうか。
 学校の資料の住所から?
 それとも篠田が?
 類沢は知っているのに、俺は家を知らない。
 それもなんだか腹立たしい。
 いや、違う。
 こんなの腹立たしくなんかない。
 ああ、変だ俺。
 なんか変だ。
 鳥肌が立ち、寒気がする。
 そろそろ戻ろうか。
 振り返った時だった。
 「ここにいたんだぁ」

 類沢かと思った。
 同じ白の白衣だったから。
 違った。
 「確認したいことがあって、探してたんだよ」
 チャラチャラと音を鳴らしながら雛谷が近づく。
 例の反省室の鍵が。
 俺は昨日の話を思い出して警戒する。
 勿論、噂を全て信じる訳じゃないが。
 用心するに越したことはない。
 「そんなに怖い顔されると、嫌われてるみたいで厭だな」
 「あ、すみません」
 「あはは、謝ること? 宮内って素直だよね」
 何故名前を覚えてる。
 二年前に授業を受けただけだが。
 覚えてるものなのだろうか。
 「確認ってなんですか?」
 化学は入試に使う。
 ただ、雛谷には添削も頼んでないし、そもそも関わる点がない。
 「その前に一つ。午後はサボる気?」
 まさか。
 その言葉が出なかった。
 躊躇が答えとなる。
 雛谷はニィッと笑うと隣のフェンスにもたれかかる。
 「昔はよくサボったなぁ……こうして屋上に来てさ」
 「雛谷先生が?」
 「ぽくない?」
 「……」
 そういえば嘘になる。
 彼も類沢と似通う空気を持っていて、学校とかいう規律から逸脱しているように見えるからだ。
 「宮内は嘘もつけないんだね」
 「そうすね」
 暫くの沈黙。
 つい雛谷を観察してしまう。
 160程度の背に、童顔。
 ヒナヤンというあだ名が似合う、チワワ顔。
 類沢がV系とするなら、アイドルってとこだ。
 変な例えをした。
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