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どこまでも玩具
第7章 阻まれた関係

 ついさっき有紗と言い合いした場所に、雛谷と二人でいる。
 この現状がおかしい。
 雛谷はフェンスに手をかけて空を仰いでいる。
 「……授業はないんですか?」
 「んー? 流石に授業あったらサボれないよ、教師だもん」
 ですよね。
 俺は苦笑いして俯く。
 どうしていいかわからない。
 二年ぶりに話す雛谷と、二人なんて。
 ぞわり。
 寒気が走る。
 昨日の話を思い出したのだ。
 確か、最初の犠牲者は部活で二人きりになって。
 いや、忘れよう。
 予定は未定っていうし。
 意味が違うか。
 考えたことは実現するっていうし。
 「あのさ、宮内」
 「はい?」
 雛谷が髪を掻き揚げながらこちらを振り向く。
 「類沢先生のことどう思う?」
 「はあ?」
 力が抜けた返事になってしまった。
 なぜ、ここで一番聞きたくない名前が出て来るのだろうか。
 この二人に接点があるのか。
 そして、ぞっとした。
 まさか。
 まさか、篠田と同じように雛谷まで。
 そんなわけない。
 ない。
 だが、怖い。
 ましてあんな噂のある雛谷。
 「どう思う?」
 なんて答えよう。
 「人気者だよねー。まだ来て1ヶ月にもならないのに。全校で保健室に行っていない女子の方が少ないくらいだって。格好良いっていうの?」
 気だるそうな褒め言葉は本来の意味に聞こえない。
 風が吹く。
 一体、雛谷は何を話そうとしてる。
 「なんで黙ってるの?」
 「……えと」
 カツカツと音を立てて雛谷が近づく。
 それだけなのに、身を引いてしまう。
 「返事くらいしなよ」
 ビクッ。
 全身が強張る。
 冷や汗が伝う。
 息が辛くなる。
 初めて類沢に会った時のことがフラッシュバックのように駆け巡る。
 ―態度悪いね、お前―
 「ご、ごめんなさいっ」
 頭を抱え叫ぶ。
 雛谷が首を傾げて覗き込んでくるが、焦点が合わない。
 ごめんなさい。
 あの時何度も叫んだことを思い出す。

 トラウマ。

 そんな単語がよぎる。
 「大丈夫?」
 大丈夫じゃない。
 雛谷の肩を涙目で押し返す。
 その途端、白衣が映ってよろめく。
 「危ないっ」
 ガシャン。
 鈍い痛みが響く。
 フェンスに倒れ込んだはずが、雛谷に抱き抱えられていた。
 最も、身長差のため不自然な体形になっていたのだが。
 「す、すみません!」
 「謝んないの」
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