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初恋のひと
第3章 理由
「俺、間中のこと嫌いだったんです。」

ゆっくりと、穏やかな低い声で話し出した。

「ど…して?」

「自分の言うこと、することは全て正しいと信じてるとこが、嫌いでしたね。

居丈高に喋るとこ、あるじゃないですか。」

「確かに…ね。」

「だから、母親も絶対嫌なタイプなんだろうって思ってたんです。

…けど、全然違ってて、最初見た時、ふんわりした人だなぁって思いました。
顔立ちも、間中とは違って童顔で可愛くて、正直ストライクゾーンど真ん中って感じで。
たぶん、一目惚れってやつですかね。
その時は、一目惚れとかとは思ってなくて、だって同級生の母親じゃないですか。
普通ありえないでしょ?
でも、スーパーでたまに見かけたりした時とか、すっげえ嬉しくて…悩んだんですよね。」

「何を…?」

「いわゆる、熟女マニアなのかな?って。
でも、他のお母さんたちにはどんなに綺麗な人や可愛い人とか見ても、そんな気持ちになんないし。
結局、マニアではない、と結論付けたんですけどね。
俺は美鈴さんが好きなんだ、てはっきり自覚したのが、受験の時期でしたけど、恋愛云々て場合でもなかったし、何より間中がネックでした。
美鈴さんに近づきたくても、間中に近付いてるみたいに勘違いされんのは嫌だったし。

そうこうしてる内に、高校進学して、それなりに女の子と付き合ったりして、青春したりして、まぁ、美鈴さんのことは頭の隅に追いやられてました。」
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