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初恋のひと
第1章 再会
「あれ?間中のお母さん?」

閉店時間が迫った頃、屈んで、平台の本を整理していた時だった。

若い男性の声が横から聞こえてきた。

視線をあげると、スーツ姿のどこか見覚えのある男性が立っている。

「あの?」

「俺、中学ん時、間中と同級生だった結城和哉です。」

そう言われれば、面影がある。
引き締まった体躯に、いかにも社会人といった雰囲気を纏った彼は、一瞬見惚れるほど格好良く成長していた。

「ぁ…結城くん?…大きくなって…」

いかにも『おばちゃん』ぼい返答をした自分に嫌気がさしながら、愛想良く微笑む。

「やだなぁ、もう社会人ですよ?俺」

「そうだったねー。でも、なんで私のこと…?」

「ネームプレートに。………それと…中学の時から気になってたし。」

サラッとそう言われ、思わず顔が熱くなった。

「からかわないでくれる?」

「いや、マジですって。」

「もう…」

ぱたぱたと手で顔を扇ぎながら、立ち上がった。

思ったより近くにいた彼を避けようとして、よろめく。

とっさに掴んだ筋肉質の腕にドキッとしながら謝った。

「ごめんね。」

「大丈夫ですよ。もっと触りますか?」

冗談めかして、彼が笑った。


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