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淫と乱
第7章 グイグイ
【杏子 View】
「むきゅう……」
「はぁっ…はぁっ……」
危なかった。
あたしの目の前で、頭に二段重ねのタンコブを作って目を回している理事長が床に伸びていた。
あの儘、胸を揉み拉かれる刺激に飲み込まれていたら、きっと最後までヤっちゃっていたに違いない。
カサカサの肌で精気が感じられない理事長の顔を見ると、ゾォッと鳥肌が立つ。
一体、こんなになるまでナニをヤったんだか分からない。
何かの拍子に我に返って、何度と頭を叩けば伸びてくれて助かった。
「っく……」
それでも、この部屋の臭いに思考を奪われそうになる。
濃厚な臭いに顔を顰め、ふらつきながら立ち上がる。
充満している臭いが何処と無く危険過ぎると本能が告げる。
覚束ない足取りながらも窓際へと脚を運ぶ。
「…ふぅ……」
身を乗り出して新鮮な空気を体に取り込む。
深く息を吸い込み吐き出せば、徐々に意識がはっきりしてきた。
「…それにしても……」
思わず呟き、理事長室を振り返る。
僅かに鼻を突く臭いに顔を顰めながらも思考を繰り返す。
理事長の豹変振りと、バレー部の部室で見た異様な光景。
あたしには何が何だか分からない。
分からないけど、おかしな事が起きているのは事実だった。
とにかく、理事長は当てにならない事は分かった。
警察を呼ぶにしても、勝手に呼べない。
「…どうしたら……っ!?」
悩んでいたら、理事長がピクッと動いた。
慌てて踏み付けてみたら、再び動かなくなった。
取り敢えず、目先の危険は回避出来たようだった。
一安心。
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