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淫と乱
第8章 カシャカシャ
『○○県△△市に於いて発生していた連続婦女暴行事件についての続報です。
警察が手掛かりを掴めていない現在、新たに数名の若い女性の遺体が発見されました。
いずれも二十歳前後の女性と見られ、警察は身許の確認を急ぐと共に、地域の住人に対して警戒を呼び掛けています。
地域の住人の方、特に女性に対して不用意な夜の外出は避けるようにお願いします。
また、不審な人物を目撃した際には、速やかに最寄りの警察に情報を………』
険しい表情の女性アナウンサーの姿が消える。
テレビが消された黒い画面に、姿が映り込む。
その顔に表情は無い。
「……………」
消えたテレビを見詰めた儘、一言呟く。
『…では、次に………』
再び点けられたテレビ。
『……今、問題になっている…んっ……少子化もん……んはぁ………だい…です…がぁ………』
次第に表情が険しくなる女性アナウンサー。
原稿を読み上げる女性アナウンサーの声に艶っぽさが混ざり始めていた。
「…くっ……ククッ………」
口角を上げて薄く笑う。
踵を返してテレビの前から姿を消す。
残ったテレビの画面には、放送事故を表示する文字だけが映っていた。
【第一幕・End】