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淫と乱
第9章 無かった事
真希の携帯に取り憑いた付喪神のつくちゃんに、ご褒美をあげさせられて帰ったあの日。
出張だった筈のお母さんが家に居た事にびっくり。
問い詰めても煮え切らない言葉しか返って来なかった。
十数分のやり取りの後で、改めて美奈ちゃんの事や変な生き物たちの事を話した。
「……大丈夫よぉ」
笑みを浮かべながら、サラっと一言で済ませたお母さん。
何が大丈夫なのか分からない。
何の根拠も無い言葉に、真希は流石に怒りを覚えた。
それでも、取り付く島もなく軽くあしらわれて、部屋に引きこもった次の日。
「相変わらず…何食べたらそんなになるのよ………」
学校に着いた真希に掛けられた一声。
それは、真希のおっぱいをジト目で見る美奈ちゃんからだった。
以前と変わらない、前から知っている美奈ちゃんが居た。
ダンゴ虫擬きの生き物が居た筈の学校。
台なし先輩だって見ていた筈。
なのに、騒ぎどころか噂にすらなっていない。
全く以って、以前と変わらない学校の風景。
余りにも日常的過ぎて、真希がおかしくなっているのかと思った事もあった。
しかし、一人になれば、携帯のつくちゃんは真希の回りでふよふよ浮いている。
つくちゃんは実在している。
浮いているつくちゃんをガシッと掴んで開いて画像を見れば、ミミズ擬きやダンゴ虫擬きの生き物に凌辱されている真希の画像もあった。
やはり、あの得体の知れない生き物も存在していた。
テレビで流れていた筈の、連続強姦の事件も耳にしなくなっている。
誰もその事に触れない。
先日起きていた違和感ありまくりの日常。
真希だけが違和感を覚えて、回りはそれが無かったかのように日常的に動いていた。
そんな夏も本番を迎えた休日。
戸惑いを心中に残した儘、真希たちは住んでいる地域から飛び出した。