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淫と乱
第10章 砂浜
【真希 View】
暑い。
暑すぎる。
それでも、明るい陽射しに気分は昂揚している。
「なかなか良い場所よねぇ」
傍に立ったお母さんの言葉に頷かざるをえない。
そよ風が髪を遊ばせる。
その風に乗って、潮の香りが鼻を突く。
「おまけに人も余り居ないみたいで穴場よねぇ」
お母さんとは反対側に立った美奈ちゃん。
その目は、海を前にしてキラキラしていた。
そんな美奈ちゃんのこんがり小麦色の横顔をジッと見詰める。
やっぱり、前までの真希が知っている美奈ちゃん。
でも、何処と無く違和感。
それに、いつの間にか妙に大人びた雰囲気が出ている気がする。
もしかして、真希が知らないトコで大人になったのか美奈ちゃん。
「…なに?」
怪訝な面持ちで見返された。
「い、いや…。何でもないよっ」
「そっ」
気付かない間に、長い事見詰めていたのかもしれない。
慌てて視線を外せば、たいして気にしていないのか、美奈ちゃんは軽く言葉を吐くと先に歩いていった。
美奈ちゃんの細い後ろ姿を見ながら、違和感を身の内に押し込んだ。
「気にしても仕方な………」
「何が気にしてもなんだ?」
思わず呟いた言葉に、今度は背後から声を掛けられた。
振り返った先には、これまた小麦色の肌をした黒髪ポニーテールのアンズ先生が怪訝な面持ちで立っていた。