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淫と乱
第10章 砂浜
【薄井影人 View】
暑い。
熱い。
何でこんなトコに居るんだろう。
「いつまで寝転がってるんだ、ガハハッ」
こんな暑いのに上下赤いジャージを着ている、角刈り音楽教師のせいだ。
「……インドア派のオレを無理矢理引っ張ってきた先生のせいっスよ………」
顔とシャツに付いた砂を払いながらシートの上に座る。
エアコンの効いた涼しい部屋で、ノンビリとあらゆるサイトを眺めて過ごす予定だった。
しかし、大した繋がりもない筈の赤ジャージ先生に声を掛けられ引っ張って来られた。
親しくもない先生と、何が楽しくて海に行かなきゃいけないんだと思っていた。
「霧島くんと恭子先生の水着姿が見れるぞ? ガハハッ」
この言葉が決め手だった。
既に霧島さんの見事な裸体は疎か、ツルツルのアソコさえも見ている。
やはりそれでも、水着姿となれば別。
霧島さんと一緒に海というだけでもテンションは上がるのに、更に水着姿も拝めるとなれば話は別だった。
しかし、テンションの高さだけで、普段は持った事が無いくらいの荷物を軽々と持てる訳もなかった。
座り直したところで疲れが取れる事も無くだらけていた。
「全く…少し鍛えてくれと薄井に頼まれたから、チャンスだと思ったのに………」
語尾にバカ笑いが付かないくらいに呆れられた。
…オヤジが原因かよ…
…帰ったら少し締め上げてやる………
思わず、黒い笑みが溢れた。
『少し』なのは、霧島さんの水着姿を見れるチャンスをくれた事に対する、僅かばかりの謝礼。
というか、何でそんなに元気なんだ赤ジャージ先生。
オレよりも荷物を持ち、更にはこのクソ暑い中でも上下ジャージ姿。
なのに、汗一つ掻いた様子もない。
…ホントに人間なのか?………
赤ジャージ先生の生物学的種別に疑問を抱かざるをえなかった。
「おっ……漸く戻ってきたぞ、ガハハッ」
赤ジャージ先生を猜疑心の目で見ていたが、その言葉に暑さは瞬時に吹っ飛んだ。
「お、おぉ………」
首を振った視線の先の光景に、思わず感嘆の声が洩れた。