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淫と乱
第11章 岩陰
【美奈 View】
薄井を追い掛けて、熱い砂浜をウロウロしていた。
別に薄井がどうなろうと知ったこっちゃない。
ただ、ちょこっとだけ、倒れたのにいきなり走り出したから気になっただけ。
本当にそれだけ。
それに、いきなり姿が見えなくなったのも気になる。
陽射しと砂の熱さに、歩いているだけで全身に汗が滲んでくる。
遠目の海中では、海水浴客が楽しげに水遊びに興じているのが見える。
「…アタシ……何してんだろ……」
別にカレシって訳でもないのに、何故か薄井を捜してる。
別に好意があるって訳じゃない。
膝枕だって、たまたま近くに居たから仕方なくしてあげただけ。
本当に他意は無い。
無い筈。
自分に言い聞かせ、暑さに顔を顰めながら脚を進めた。
「…確か…こっちの方じゃ……」
岩場の近くで脚を止めて辺りを見回す。
この辺りに来たのは間違いなかった。
ずっと薄井の後ろ姿を目で追っていたから間違いない。
心配だからであって、決して他意は無い。
それでも、陽射しが照り付ける岩場には薄井の姿は無かった。
「…ったく……一体…何処に………」
「……んぁ……あ……ぁあぁぁ………」
細波の音と海水浴客の燥ぐ声に混じって、本来なら聞こえる筈の無い声が耳に届いた。
…えっ?…
…ちょっ……まさか………
いきなり聞こえた、明らかに女の艶めかしい声。
姿が見えない薄井の存在。
アタシは胸をドキドキさせて、何故か物音をたてないようにと脚を進めた。