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淫と乱
第13章 パラソルの下
【杏子 View】
…一体…どうしたんだろ……
荷物を残して、あたしと赤井先生以外、誰も居なくなった。
薄井くんと美奈さんもいつの間にか居なくなり、霧島母娘もそれぞれに何処かに行った。
「うむ、良い天気ですなぁ。ガハハッ」
相変わらず、無駄に煩い赤井先生と二人きり。
みんなの荷物を背後に、パラソルの下にあるマットの上で膝を抱えるあたしの横で、何故かしきりに太陽の下で準備運動をしている赤井先生。
筋肉質の体といい、無駄にある体力といい、絶対音楽教師には向いていない気がする。
みんな、そう思ってるに違いない。
「まぁ、そのうち戻ってきますよ。ガハハッ」
不安げな表情を読み取られたっぽい。
やはり無駄に大きな声で話し掛けてくる。
気が利く事は気が利く。
それは認める。
でも、股間のモッコリを際立たせるビキニの水着や、状況を考えない大声や無駄な元気。
素直に赤井先生を受け入れられないのはあたしだけじゃないと思ってる。
「そ、そうね」
でも、今は二人っきり。
話し掛けられて無視をする程、あたしもガキじゃない。
「ゆっくりしましょ、ゆっくり。ガハハッ」
ゆっくり言ってる本人の動きが、ちっともゆっくりじゃない。
…準備運動って……残像が見える程…速く動く物だったっけ………
そもそも、残像という時点で、人間離れしてる気がする。
「そう…ね」
あたしの顔が引き攣ってるのが分かる。
てか、さっきから同じ言葉しか言ってない。
赤井先生も延々と体を動かしてる。
頭の中から、赤井先生のモッコリを消し飛ばす為に、景色を眺める。
海が綺麗だ。
空も晴れ渡っている。
綺麗な景色に、気持ちが落ち着いていた。
ガサッと背後から物音がするまでは………。