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淫と乱
第13章 パラソルの下
「へっ!?」
思わず振り向いた。
背後にあるのは、みんなの荷物だけ。
荷物が崩れた様子もない。
「どうしましたかな? ガハハッ」
やはり、無駄に元気な赤井先生。
しかし、返事をしてる余裕は無い。
確かに聞こえた物音。
膝を抱えた儘、上体だけを回して見詰める。
「……………」
ジィッと荷物を見ても、何の変化もない。
再び顔を海へと向ける。
『ガサガサッ』
パッと振り返る。
やはり何も無い。
もう一度海を眺める。
『ガサガサガサッ』
サッと振り返る。
「……………」
やはり、荷物に異変は感じられない。
「さっきから、何をしてるんですかな? ガハハッ」
「あ…いえ………」
赤井先生に見られていた。
何だか恥ずかしくって、顔が熱くなった。
思わず俯いた時だった。
視界の端に、何か赤い物が荷物から飛び出したのを捉えた。
「やっぱりっ」
慌てて頭を振る。
「えっ!?」
赤井先生の驚いた声に構ってる場合じゃなかった。
辺りを見回す。
依然として変わらない景色。
あの赤い物体の姿は何処にも無い。
…一体…今のは………
視線を荷物へ戻しても、何も変わった所はなかった。