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真紅の絆
第2章 1話
「なに見てんだよ?もの足りないのか?」
雅影はからかうように笑った。その顔には憂いは消えていた。
「…殿のせいで、ますます腕が痛くなりました」
雅影の笑顔が嬉しくて。でも素直になれない桃丸はわざと拗ねたことを言う。
雅影はまたけらけらと笑った。
「運動したから、血の巡りがよくなったんだろうな。やっぱ桃の乱れっぷりはいいよなぁ」
さきほどの醜態を思い出して顔が火照ってきた。
「…さっきの俺の姿…速効に記憶から消してください!」
すばやく着替えを手繰り寄せる。その腕を止められ、雅影が桃丸を腕に抱き寄せた。
「…今日も可愛かったぜ。俺の桃」
耳元で囁かれる声にカァ…と全身が熱くなった。
「記憶から消してください!!」
「嫌だね。死ぬまで、全ての閨の記憶を留めてやる」
「そんなつまらないこと忘れて仕事のこと…あーーッ!殿、今日までの決済の書類なかったでしたっけ?ほら、野土城の篠田さまから来たアレ!あの案件!」
主を突き飛ばし、慌てて立ちあがる。
両刀を素早く差して、主を引っ張る。のんびり屋の主を急き立てるのも小姓の仕事だ。
「…お前、今日非番だろ?」
「そんなこと言ってらんないでしょ!早くお城に戻るの!殿、早く!」
「面倒くせー…俺はもっと桃といちゃいちゃしてーよー…引っ張るなって」
騒々しく階段を駆け下りて、茶屋の店主に頭を下げる桃丸。
そんな桃丸の姿を、雅影は苦笑しながら見つめていた。
「しっかりしてきたな、桃。俺は寂しいぜ…昔は俺に甘えてばかりだったくせに」
「なにつまんないこと言ってんですか!俺は甘えてなんかいませんからね!」
夢と同じ夕陽の中を走る。
でも夢と違うのは、立場。
あの時は、守られるだけだった。今は違う。桃丸が雅影を守るのだと――。
固くそう誓っていた。
fin.
雅影はからかうように笑った。その顔には憂いは消えていた。
「…殿のせいで、ますます腕が痛くなりました」
雅影の笑顔が嬉しくて。でも素直になれない桃丸はわざと拗ねたことを言う。
雅影はまたけらけらと笑った。
「運動したから、血の巡りがよくなったんだろうな。やっぱ桃の乱れっぷりはいいよなぁ」
さきほどの醜態を思い出して顔が火照ってきた。
「…さっきの俺の姿…速効に記憶から消してください!」
すばやく着替えを手繰り寄せる。その腕を止められ、雅影が桃丸を腕に抱き寄せた。
「…今日も可愛かったぜ。俺の桃」
耳元で囁かれる声にカァ…と全身が熱くなった。
「記憶から消してください!!」
「嫌だね。死ぬまで、全ての閨の記憶を留めてやる」
「そんなつまらないこと忘れて仕事のこと…あーーッ!殿、今日までの決済の書類なかったでしたっけ?ほら、野土城の篠田さまから来たアレ!あの案件!」
主を突き飛ばし、慌てて立ちあがる。
両刀を素早く差して、主を引っ張る。のんびり屋の主を急き立てるのも小姓の仕事だ。
「…お前、今日非番だろ?」
「そんなこと言ってらんないでしょ!早くお城に戻るの!殿、早く!」
「面倒くせー…俺はもっと桃といちゃいちゃしてーよー…引っ張るなって」
騒々しく階段を駆け下りて、茶屋の店主に頭を下げる桃丸。
そんな桃丸の姿を、雅影は苦笑しながら見つめていた。
「しっかりしてきたな、桃。俺は寂しいぜ…昔は俺に甘えてばかりだったくせに」
「なにつまんないこと言ってんですか!俺は甘えてなんかいませんからね!」
夢と同じ夕陽の中を走る。
でも夢と違うのは、立場。
あの時は、守られるだけだった。今は違う。桃丸が雅影を守るのだと――。
固くそう誓っていた。
fin.