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真紅の絆
第3章 二話
――殿、少しは取り繕ってくれてもいいのに。
いい意味でも悪い意味でも表裏のない主君に、桃丸は少し苛立った。
「桃は俺以外には優しいんだよな?」
嫌みっぽくそう言われ、ムッと睨んでしまった。
「あら、珍しく喧嘩したの?」
宣伸院には、険悪な二人の空気も可笑しいらしく、クスクスと笑った。
「…喧嘩ではないです。私が生意気を申しまして、殿が気分を害されたようで…申し訳ありません」
宣伸院を安心させようと、笑顔を取りつくろい、雅影に頭を下げる。
「殿、申し訳ありません」
雅影はツンとした顔でそんな桃丸を見つめた。
「お前はほんっと、外面だけはいいよな。悪いと思ってないのに謝らなくてもいいんだぜ?」
「……」
何か言いかえそうとして、でもぐっと堪えた。
「あの…私がいると空気悪くなりますので、表で待ってますね」
そう言い立ち上がりかけたのを、雅影が引きとめた。
「勝手に帰るんじゃねーよ。俺の身辺警護は小姓の仕事だろ?義務だろ?」
終始喧嘩ごしの主に、桃丸も苛立ちが表に出てしまう。
「表でお待ちしてます。帰りませんから!……宣伸院さま、騒がしくて申し訳ありません。では…」
さっと立ちあがり、逃げるように部屋を後にする。
宣伸院の「なんなの、雅影どの。だいたい貴方という人は…」という叱責の声を背中で聞きながら、庭に下りた。
いい意味でも悪い意味でも表裏のない主君に、桃丸は少し苛立った。
「桃は俺以外には優しいんだよな?」
嫌みっぽくそう言われ、ムッと睨んでしまった。
「あら、珍しく喧嘩したの?」
宣伸院には、険悪な二人の空気も可笑しいらしく、クスクスと笑った。
「…喧嘩ではないです。私が生意気を申しまして、殿が気分を害されたようで…申し訳ありません」
宣伸院を安心させようと、笑顔を取りつくろい、雅影に頭を下げる。
「殿、申し訳ありません」
雅影はツンとした顔でそんな桃丸を見つめた。
「お前はほんっと、外面だけはいいよな。悪いと思ってないのに謝らなくてもいいんだぜ?」
「……」
何か言いかえそうとして、でもぐっと堪えた。
「あの…私がいると空気悪くなりますので、表で待ってますね」
そう言い立ち上がりかけたのを、雅影が引きとめた。
「勝手に帰るんじゃねーよ。俺の身辺警護は小姓の仕事だろ?義務だろ?」
終始喧嘩ごしの主に、桃丸も苛立ちが表に出てしまう。
「表でお待ちしてます。帰りませんから!……宣伸院さま、騒がしくて申し訳ありません。では…」
さっと立ちあがり、逃げるように部屋を後にする。
宣伸院の「なんなの、雅影どの。だいたい貴方という人は…」という叱責の声を背中で聞きながら、庭に下りた。