この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
真紅の絆
第3章 二話
「はぁ?勤め?義務感かよ?」
「それ以外になにがあるって言うんですか?」

宣伸院の館はすぐ前。
なのに、険悪な空気になってしまった。乱暴に雅影は桃丸の手を振り払う。

「だよな。俺とお前は主君と家来だもんな。そうだよな」

その声に、桃丸の胸に後悔が押し寄せる。泣きたくなるような悲しさも。
でも、訂正することは出来なかった。


○◎○

正座して待つことしばらく。宣伸院が静かに現れると、雅影と桃丸は頭を下げる。

「…母上、しばらくぶりです」
「宣伸院さま、ご無沙汰でございまする」

雅影の声はやや無愛想だ。
母親の前で照れもあるのかもしれないけれど、桃丸とのやり取りも引きずっている。

「桃丸どの、可愛いお花をありがとう。そういえば昔、霞(かすみ)とすみれをよく摘んだわ。貴方を見ていると、十五歳の頃のあの子を思い出す…」

宣伸院は遠い目をして微笑んだ。
その目は桃丸を通して、亡き母を見つめている。
母、霞はもともと椿姫の侍女として姫野家にやって来た。幼い頃から仕えている、という点では雅影と桃丸の関係に似ている。

生前、とても仲がよかった二人。桃丸が幼い頃から、宣伸院は実の子のように桃丸を可愛がってくれた。

そんな宣伸院を見ていると、亡き母の思い出が蘇る。先ほどの悲しい気持ちが少し癒されていくような気がした。

「桃丸どのは優しいですね。本当に霞に似ている。晴貞どののお部屋もきれいなお花で彩るのですよ。文句を言うなら私に言いなさいと伝えなさい」
「は…はぁ」

二人のやり取りを面白くなさそうに見つめる雅影の空気に、桃丸は不安を覚える。
/23ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ