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真紅の絆
第2章 1話
城下町の中心から少し離れた川沿いが普段は見せない賑わいを見せていた。
茶屋が臨時で出店し、酒も振舞われる。
人々の目当ては立派な桜並木。満開に咲いた桜をサカナに、老若男女がご機嫌に宴会を楽しんでいた。
「お花見お花見…」
右手に団子を持った樋口桃丸(ひぐち ももまる)は、既に茶碗三杯ほど酒を飲み、ほろよい状態である。
桃丸は桜の満開を楽しみにしていた。お祭り騒ぎも好きなのだが、桜がほわほわと咲いているこの風景もワクワクするのである。
とはいえ、こういうお祭り場にはいつも騒々しいものが現れるものである。
桃丸の背後で女性の甲高い悲鳴があがった。
慌てて桃丸は持っていた団子を一気に口に放り込んで、悲鳴があがった方へ駆けだした。
「どうかしたのか?」
人だかりを割って入り、その場にいた商人風の若者に尋ねる。
しかし尋ねるまでもなかった。
風体の怪しい浪人風の男数人が、商家の令嬢と思われる女子の腰を乱暴に掴んでいた。
「お嬢様!」
商家の番頭が助けようと駆けよるが、乱暴に突き飛ばされる。
令嬢は言葉にならない悲鳴をあげ、泣きそうな顔をしていた。
「ちょっと待てよ」
桃丸が男達に一歩踏み出した。
祭りの前に「もめごとはご法度」と御触れが出ていたのを頭の片隅に思いながら、でも見過ごすわけにはいかないと。
「せっかくみんな楽しくお花見してるんだから。その子離せよ」
強引にずかずかと歩み寄り、令嬢を拘束している男の手を掴んだ。
茶屋が臨時で出店し、酒も振舞われる。
人々の目当ては立派な桜並木。満開に咲いた桜をサカナに、老若男女がご機嫌に宴会を楽しんでいた。
「お花見お花見…」
右手に団子を持った樋口桃丸(ひぐち ももまる)は、既に茶碗三杯ほど酒を飲み、ほろよい状態である。
桃丸は桜の満開を楽しみにしていた。お祭り騒ぎも好きなのだが、桜がほわほわと咲いているこの風景もワクワクするのである。
とはいえ、こういうお祭り場にはいつも騒々しいものが現れるものである。
桃丸の背後で女性の甲高い悲鳴があがった。
慌てて桃丸は持っていた団子を一気に口に放り込んで、悲鳴があがった方へ駆けだした。
「どうかしたのか?」
人だかりを割って入り、その場にいた商人風の若者に尋ねる。
しかし尋ねるまでもなかった。
風体の怪しい浪人風の男数人が、商家の令嬢と思われる女子の腰を乱暴に掴んでいた。
「お嬢様!」
商家の番頭が助けようと駆けよるが、乱暴に突き飛ばされる。
令嬢は言葉にならない悲鳴をあげ、泣きそうな顔をしていた。
「ちょっと待てよ」
桃丸が男達に一歩踏み出した。
祭りの前に「もめごとはご法度」と御触れが出ていたのを頭の片隅に思いながら、でも見過ごすわけにはいかないと。
「せっかくみんな楽しくお花見してるんだから。その子離せよ」
強引にずかずかと歩み寄り、令嬢を拘束している男の手を掴んだ。