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真紅の絆
第2章 1話
「は?なんだこのクソガキ!」

手を掴まれた浪人が気色ばむ。桃丸はそのまま合気道の要領で、その浪人の手を捻り、後ろに跳ね飛ばした。


「行っていいよ」

令嬢にそう告げると、一人で男達に対峙する。
浪人達は跳ね飛ばした男を含めて四人。四対一。

この事態をどう切り抜けようかと迷っているうちに、浪人達が抜刀した。
観衆から悲鳴が上がる。

「女の前でいい格好してんじゃねーぞ!」
「このガキ、粋がりやがってぶっ殺してやる!」

桃丸に面子を潰された怒りと酒の力で、気が大きくなっているようだ。

「ちょっと待ちなよ。もめごと御法度ってお城からお触れが出てたろ?刀しまいなよ」

そう言っても通じる相手ではない。一人が桃丸に大きく斬りかかって来た。

紙一重で避けて、刀を掴む手を掴む。そしてさきほどの要領で手を捻った。

「だからやめなって…」

その隙に、もう一人が斬りかかってくる。桃丸は飛びのけて、長刀の柄に手をかけた。

――まいったなー…。ここで俺も抜いたら確実に斬り合いになっちゃう。けど抜かないでどう切り抜けよう。

平和的に切り抜ける作戦に頭を悩ませる桃丸と、殺気走った四人。
剣劇の腕はさておき、気迫では完全に桃丸が押されていた。

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