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宵闇
第9章 溶ける
「これで不安、少しは減った?」
そっと身体にかけられたタオルケット。
言葉だけじゃなく、何もかもが本当に優しい葉月くん────。
そんな葉月くんの行為は、その優しさゆえの……私のこれからを思ってくれて以外の何でもないのだと──なぜだろう、まるで自分に言い聞かせるように何度も頭の中で繰り返していた。
「自信、持って?」
ね、と私を見つめてくる葉月くんの表情。
微かに浮かんでいる笑み。
私も意識して口角をあげ、同じように返した。
……正直、自信が持てたかどうかはわからない。
でも、ちゃんと身体が反応したことが素直に嬉しかった。
ずっと……自分はもしかしたら不感症なのかもしれないと思っていたから。
なのに、本当に相手次第でこんなにも違うものだなんて────。
教えてもらえた気持ちよさ。
それは、大好きな葉月くんの手で。
……幸せだと思った。
そう──もうそれだけで、私は。
その気分のままにまた、目を閉じる。
「……このまま眠っていいよ」
撫でられた頬。
滑らかな指先にふれられる心地よさ。
「おやすみ……琴音ちゃん────」
囁くような葉月くんの言葉。
まるで遠くから聞こえてくるよう。
そうして。
私の意識はそのまま静かに途切れていった────。