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宵闇
第3章 深まる
葉月くんは着替えてから部屋に来るというので、先に机に向かって準備を始めた。
勉強は好きじゃないけど、あの高校に入りたいんだから仕方ない。
何しろ家から近いし、制服もかわいいんだよね!
だから絶対合格するんだ!
そんなふうに自分に喝を入れていると、お待たせ、と葉月くんが来てくれた。
「──で? どこわかんないの?」
私の脇に立ち、聞いてくる。
「えっと、ここ」
「ん。ちょっと見せて?」
差し出したテキストの問題を見た葉月くんが、ああ……これはね、と丁寧に説明してくれる。
その教え方はとてもわかりやすく、あっという間に理解できてしまった。
「えーっと……これがこうなるからこうで……」
もう一度、解いてみると
「──あ。できた」
さっきまでが何だったんだろう、と思ってしまうほどにすんなりとできてしまった。
やった、と喜ぶ私を見て、葉月くんが
「よかった。いつでも教えてあげるから」
そう言ってくれた。
「ほんとに? 私、たぶんすごくいっぱい聞いちゃうけど……」
「うん、いいよ」
その頼もしさに、勝手に顔がほころんでしまう。
教えてくれる葉月くんのためにも、受験がんばらなくちゃ──そう決意を新たにし、再び私は机に向かった。