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宵闇
第3章 深まる
──と、そこへ
「ただいまー」
タイミングよく葉月くんが帰ってきた。
急いで玄関に向かう。
「おかえり!」
「なに? 今日はお出迎えつき?」
笑われてしまった。
恥ずかしくなりながらも、気を取り直して言う。
「あのね、葉月くんにお願いがあるんだけど」
「ん? なに?」
「勉強をね、教えてほしいの!
ママに聞いたら、葉月くんに聞きなさいって言われて……たぶんわかんないからだと思うんだけど──」
「琴音ー! 全部聞こえてますけどー?」
言葉を遮るようにキッチンから即、飛んできたママの声。
ふたりで思わず笑ってしまった。
キッチンに向かった葉月くんのあとをついていく。
「大丈夫ですよ。僕でわかることならいつでも」
その言葉にほっとすると、ママも振り向いて
「ほんと? じゃあ悪いけどよろしく頼むわね!」
そうお礼を言った。
はい、と答えて葉月くんが私に向き直る。
「じゃ、早速やろっか」
「うん!」
テーブルに置いていたテキストを手に、歩き出した葉月くんに続いて二階へとあがる。