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宵闇
第11章 惑い
「それは……!
……それはまあ、そうだけど……っ」
完全に否定することもできずにいた私に
「……ふーん。で、合コン」
さっきからずっと私を見ている村上くんの、棒読みのセリフのような言葉。
視線は変わらずまっすぐに私に。
なんだか他にも何か言いたそうな、そんな雰囲気を感じた。
「……な、何?」
たまらず問いかける。
言いたいことがあるなら言ってほしい。
いつも明るくてふざけてるときが多い彼の……こんな真面目な顔。声。
もしかして怒ってるんだろうかと思ってしまうほど、何だかぴりぴりとしたものすら感じ取れてしまう。
「村上くん……?」
私の問いかけに何も答えない彼に、再び声をかけると
「──あのさ、ちょっと桜井借りるわ」
村上くんは突然加奈に向かってそう告げ、私の腕を掴んだ。
「え!?」
そのまま、歩き出す。
「え、ちょっと……!」
戸惑いながらも、引かれる腕に抵抗できず立ち上がり、そのままついていく。
加奈はなぜかにやにやした顔で私を見ていた。
ひらひらと呑気に手まで振っている。
……っ、なに!? いったい何なの!?