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宵闇
第4章 琴音
葉月くんの姿も時々校舎で見かける。
会うたびに私に声をかけてくれるから、一緒にいる友達には必ず関係を聞かれた。
「えー! そういうのって、恋愛に発展したりしないの!?」
そんなふうに驚かれることもしばしばある。
葉月くんは私が妹だからこうやって構ってくれてるだけで、お子様の私なんてはじめから恋愛対象になるわけない。
まあ……妹としては、あんな素敵なお兄ちゃん──ちょっとまわりに優越感を感じるけど。
「でも桜井先輩って、かっこいいけどちょっと怖くない?」
「えー? そんなことないよ。優しいよ?」
確かに、あの整ってる顔立ちは、黙ってるとそんなふうに見えちゃうのかもしれない。
でもとても優しい人なんだ。
それを知ってるのは妹である私だけっていうのが、なんだか嬉しかったりもする。
学校への行き帰りは基本的には別だけど、たまに一緒になるときもあった。
私はその時間もとても好き。
葉月くんは私の話をいつもちゃんと聞いてくれるから。
……本当のお兄ちゃんだったら、こんなふうにはきっとしてくれない。
これって、義理の兄妹だからこそ、かも。
そんな優しい葉月くんに、私は素直に甘えさせてもらっていた。