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宵闇
第4章 琴音

そして、それは9月に入って間もなくのこと。
帰り、葉月くんと昇降口で偶然一緒になった。
「あれ? 琴音ちゃん今日ひとりなの?」
「うん。加奈は用事あるんだって」
「そうなんだ。じゃあ一緒に帰ろうか」
「うん!」
ふたりで学校を出ると、桜井さん、と校門のところに立っていた男子に呼び止められた。
視線をそちらに向けると、その人は何度か顔を見たことがある、隣のクラスの子だった。
「あのさ……ちょっといいかな」
「……え?」
思わず葉月くんに目をやると
「僕は先に帰ってるよ」
そう言われて、反射的に、うん……と返事をしてしまった。
葉月くんはひいていた自転車に乗り、じゃあね、とその場を離れていく。
その様子をしばらく見つめていたものの、男の子に促された私は少し彼と一緒に歩いて校門から離れた。

