パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第12章 その意味

ひとり残された席で、確かにそれは気になっていたことだと琴音から話を聞いたときを思い出していた。


彼から告白されたときは断ったのに、そいつから告白されたときはすぐにOKしたという琴音。
何が決め手だったの？　との問いには、よくわからないんだけどなんとなく……と曖昧に答えていた。


僕に似ていたというそいつを、琴音が選んだ理由。


……あの頃。
急に彼女の手を離した僕の代わりを無意識のうちに求めていたということか？
結果、つらい思いをすることになったその関係──それは僕のせいでもあったというのか？


思わず頭を抱えた。


──琴音、ごめん。
本当にごめん。


気づかなかった僕を許してほしい。
そんなことがあるわけないと思い込んでいたからなのか、琴音の変化にまったく気づけないでいた。

でもそう考えてみれば、思い当たることもなくはない。

……今でも信じられない思いだけれど。


彼女は苦しんでいる、という彼の言葉。
僕がそうだったように、彼女もまた同じように？
あんなにつらい思いを僕は彼女にさせていたのか──そう思うと腹が立ってくる。
そう、彼女のことなら何でもわかっているつもりでいた自分に。


「琴音……」


胸が痛む。
なぜかはわからないけれど、まるで心臓をじかに握られているかのような感覚だった。


……会いたい。
琴音に会いたい。


気が狂いそうなほど、求めていた。
圧し殺そうとしてもそうできない強くて激しい感情に、いつしか自分が飲み込まれていきそうな恐怖すら感じるほどだった。

その想いが、叶うのか────？


……ぞくっ、と身震いがした。
言葉でなんてもはや言い表せない興奮が自分のすべてを支配していく。


早く……少しでも早く想いを伝えて、そしてこの手で彼女を抱き締めたい────！


逸る想いを抑えきれずに、僕は椅子から立ち上がった。