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宵闇
第13章 衝動


着信音が鳴った。
誰からだろう? と画面を見た私の心臓が波打つ。


……葉月くん────。


一瞬躊躇したものの、隣にいた親友にごめんねと断って電話に出る。


「はい……」

『琴音ちゃん? 僕だけど────』

「あ、うん……どうしたの? 葉月くん。」


久しぶりに聞く声。
私の大好きな、この声。
胸がきゅんと疼いてしまう。


『ん。ちょっと琴音ちゃんに話があって。
……これから会えないかな?』

「え……」


何だろう?
もちろん気になったけど、明日は土曜だから、今日は加奈とふたり夜更かしして過ごそうと話していたところだった。


「えっと……あのね、今日はちょっと加奈と約束があって……」


だからごめんね、と断ると、少しだけ沈黙を挟んでから葉月くんは言う。


『……わかった。突然ごめんね。
でも近いうち時間作ってもらえ────』


──と。
突然加奈が私から携帯を取り上げた。


「え!? ちょっと……!」


慌てる私をよそに


「もしもし、桜井先輩ですか?
あの、琴音、行かせますから! こっちは大丈夫でーす!」

『ん? 加奈ちゃん?』


葉月くんの声が微かに聞こえる。


『いいの?』

「もちろんですよー!」

『ほんと? ……悪いね、ありがとう』

「いえいえ! じゃあ琴音に代わりますね~!」


はいっ、と携帯をよこされ、反射的に受け取った私に口パクで『がんばれ!』と伝えてくる加奈。
そんなふうに言われると、なんだか緊張してきてしまう────。

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