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宵闇
第4章 琴音

「で? 何て返事したの?」
少し真面目な顔をして、葉月くんは言った。
「……考えさせて、って」
溜め息をつきながら、ほんとどうしよう……とこぼす。
「……つきあうとか、よくわかんないよ」
男の子とつきあったら……電話したり、一緒に帰ったりするんだよね?
あと、休みの日にデートしたりとか?
……でも、それだけじゃない。
手つないだり……キスしたり。
その先だって────。
──む、無理!
そんなの考えたことない!
自分がそういうことするなんて、とても想像できない!!
「……断る」
反射的に口にした呟きは葉月くんには聞こえなかったのか、ん? と聞き返された。
「彼のことよく知らないし……断る」
少し大きめの声で言うと今度は聞こえたみたいで、そう、と葉月くんが答える。
「琴音ちゃんがそう思うんだったら、そうするといいよ」
続けられた言葉になんだかほっとして、うん、と頷いた。
「彼氏とか、焦って作るようなものじゃないからね」
そう優しく諭されながら、葉月くんの言葉はいつも私の心に抵抗なく入ってくるなあとそんなことを思っていた。
「……ありがと、葉月くん」
お礼を言って部屋を出た私は、明日ちゃんと彼に断ろう──そう、決めていた。

