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宵闇
第13章 衝動


「葉月くん……私を甘やかしすぎ」


そんな中、不意にぽつりと口からこぼれた思いに、……だめ? と葉月くんは答えてくる。


「できることならもっと甘やかしたいぐらいなんだけど?」


私の葛藤を知ってか知らずか、そんなことまで口にして。


「僕はいつも琴音の味方で、一番の理解者でいたい」


甘すぎるその言葉。
胸がぎゅっとする。
頬が……身体が、熱くなる。


「だ……だってそんなに甘やかされすぎたら、私──きっとだめな人になっちゃう……」


どきどきと鳴る胸を必死で抑えながら言うと、葉月くんが声を上げて笑った。


「ならないよ琴音は」


そんなふうに、自信ありげに言い切る。


「なるよ……!」


言い返しても


「ならない。大丈夫。
……だって琴音はちゃんと気づけるでしょ?
間違ってると思ったら、今みたいにちゃんとそれ認められる子だから」


さらに、そんなふうに。


「そ……そんなのかいかぶりすぎ……!」


さすがに恥ずかしくなり頭を戻しながら答えると、そんなことない──と、背後から抱き締められる。


「どれだけ琴音のこと見てきたと思ってるの?
そういう子だって僕はちゃんとわかってる。琴音が自分を知らなすぎるだけ。
甘やかされて当たり前だなんて琴音は思ってないから、だから僕は反対に安心して思う存分甘やかす事ができるんだよ」


──ほら、こうやって。
私の心が迷っても、揺れても、思いが凝り固まってしまっても──いつもそんなふうに葉月くんは溶かして楽にしてくれる。
そうやってもっと葉月くんから離れられないようにされちゃうんだ。


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