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第15章 溺れる

衝動的に葉月くんの首筋にキスをする。
そのまま下へ唇を滑らせて乳首にも口づけると小さく漏れ聞こえた声。
男の人も、ここ……感じるんだろうか。


──ふと、それを思いついた。


「……ね、葉月くん」

「ん……？」

「私もつけていいかな」


何を？　と聞き返したそうな表情。
それでいて、それがなんだかもうわかっているような──口元に微かに浮かんでいる笑みに、それを見る。


「もしかして……僕が琴音のものだっていうしるし？」


……ほら、やっぱりわかってる。


勝手に上がってしまう口角。
葉月くんに、つられるかのように。


「どうやるとつくの？」

「ん？」


葉月くんは口元を綻ばせたまま、私の腕をとった。
二の腕の内側に、軽く開いた唇を押しつける。
ん……とその柔らかな感触に緩む心。
このまま葉月くんに縋りつきたくなったけど、今は私がする番だから、と我慢する。
葉月くんがそこをちゅうっとしばらく吸うのを見つめながら。

最後にちょっとだけたてられた歯。
軽い痛みが、じんわりと甘く肌に滲んだ。

そっと離された唇の、その場所。
紅い痕が残されているのを見た。
今度はこれを、私がつけるんだ────。


「……どこならいいの？」


ぞくぞくと私を追いたててくるその感情。


早くつけたい。
早く葉月くんを私のものにしたい。
私だけのものだって、この目でしっかり確認したい────。