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第15章 溺れる

……やがて葉月くんが大きく息をはいて、そのあと……どうしたらいいかわからないまま固まっていた私の口からそっとそれを抜く。


「……だからだめって言ったのに……！」


枕元のティッシュをとり、私の口元にあてがった。


「ほら、これに出して？」


──でも……なんでだろう。
よくわからないけど、私は葉月くんと目を合わせたまま……ごくんと口の中の液体を飲み込んでいた。
見ていた葉月くんは私が何をしたのかすぐに察したのだろう。
えっ、とさらに焦った顔になる。


「飲んだの……!?」


ん……と頷く私の口の中に広がる味は、今まで味わったことのない独特なものだった。


「出してよかったのに……！」


葉月くんがそう言いながら、コップに水をくんできて、はい、と手渡してくれる。
その水を一気に飲み干し、それからはあっと大きく息を吐いた。
葉月くんはまだ心配そうな顔で私を見ている。


「……大丈夫？」


こくん、と首を縦に振った。


「……出すのはなんかやだなって思っちゃって……つい」


だって葉月くんのだから──と言い終わらないうちに、私はぎゅっと抱きしめられた。
琴音、と何度も私の名を呼ぶ彼の声はとても優しい。
何度も口づけてくるその唇も、優しい。
あれを飲み込んだあとなのに気にしないかのように深いキスもしてくれた。
舌も深く絡めとられた。


「んんっ……」


そのまま押し倒されると、私の額に自分の額をくっつけてくる。
……愛しそうに見つめてくる。


「本当に……」


溜め息を、漏らしながら


「琴音が好きでたまらないよ……」


そんな蕩ける言葉を口にする。