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宵闇
第5章 紅
私は高校2年になっていた。
葉月くんがいない生活にも少しずつ慣れはしたけど、それでも、がらんとした葉月くんの部屋を目にするたびに、寂しい感情に襲われていた。
「桜井、おはよ!」
昇降口で声をかけてきたのは、村上くん────。
彼はあれからも私によく話かけてくれたりして、私も少しずつ彼を友達として好きになっていった。
彼はどうなのかわからないけど、恋愛感情めいた雰囲気はあまり出してこない。
もしかしたら、彼にとっても私は友達の位置で落ち着いたのかもしれない。
「おはよう、村上くん」
「今日もかわいいね、桜井」
「あはは! ありがと~。
でも毎日言われてると慣れちゃうね」
「マジか……!」
ガーン、と大袈裟に反応してくる彼は、ほんと空気をよく読む、楽しくてしっかりした人だ。