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宵闇
第5章 紅
6月のある日、帰る途中突然降り出した雨──私は慌てて公園の中の屋根がある場所に避難した。
「あーあ。やっぱり降ってきちゃったか……」
ハンカチで濡れた頭を拭きながら、空を見上げる。
溜め息と共に鞄を探るも、なぜか見当たらない。
いつも持ち歩いてるはずの折りたたみ傘が。
「……あ!
昨日荷物入れ直したときにきっと忘れたんだ……」
再びついた溜め息。
雨足は強く、傘をささないとあっという間にびしょ濡れになりそうだった。
「困ったなあ……」
でももう少ししたら雨足が弱くなるかもしれない。
とりあえず待ってみようか────。