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宵闇
第16章 囚われる

……ちょっと言ってみただけのことが、思いがけなくちゃんとした話になっちゃった。
いつのまにか、消えていたもやもや。
葉月くんとの想いのやりとりは、なんていうか本当に……不安とか、そういうのをすっとはらってくれるっていうか。
そう──安心する、っていう言葉がぴったりで。
「ねえ、じゃあほんとに私しか知らないの?
葉月くんの、その……意地悪なとこ」
「こういう琴音を僕しか知らないのと一緒だよ」
恥ずかしいのと嬉しいのが混ざりあって、テンションが上がっていく。
「……琴音と一緒にいるといろんな自分を知れるな」
──え?
それはまさしくさっき、私が思っていたことだった。
「私もっ」
振り向いて同意する。
「知らない自分がいっぱい出てくる……」
私が知らなかった私。
ずっと気づけなかった、本当の私。
「……じゃあもっといるかな?」
私に口づけながら
「僕に教えて? 琴音の全部……」
囁き声で甘い言葉を吐いた最愛の彼。
ああ……とろける。
葉月くんにまた、とろかされる。
私の唇をそっとなぞる葉月くんの指。
思わず口を開けると、ほんの少しだけそれが中へと入り込んだ。
唇の内側をなぞっていく。
ぞくぞく……ぞくぞくと私のなかが疼き出す。
たまらず、息が乱れた。
「ん、あっ……さがし……て……」
「ん……?」
唇に、耳が寄せられる。
私も囁くように答えた。
「さがして、みれば────……?」

