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宵闇
第16章 囚われる

「終わりがあるから──離れざるを得ないからこそ、また、欲しいって思う。
そしてまたひとつになって、やっぱり大好きで愛おしいって感じて……抱くたびに、そういうの再確認する」
ちゅっ、と葉月くんがくれた口づけ。
「そういう、欲しい気持ちの繰り返しでも……きっと、どんどん想いは大きくなっていく」
柔らかな唇が、また。
「……ね?」
葉月くんの言葉が心にすっと染みていく。
「大きく……?
いっぱい増えてくの……?」
「そうだよ? どんどん膨らんでいくんだ」
その、笑顔────。
ん、と頷いた私にその笑みをさらに深くしながら、また背中へと回された手。
引き寄せられるままに彼に身体を預けた。
「……琴音」
やがて、葉月くんがまた私の名前を呼ぶ。
そのまま耳元で静かに続けられた言葉。
「一緒に暮らそうか────」
……それは、それ以外のどんな意味でもないはずなのに。
え……と声にならずとも形作られた唇。
「そしたら、琴音が寂しくなったときとか……いつでもこうしてすぐに抱き締めて、安心させてあげられる」
葉月……くん────。
こみ上げてくる涙。
「葉月くんと……いつも一緒にいられるの……?」
胸がもう、いっぱいで。
絞り出した言葉は、涙が混じった掠れ声で。
「うん」
「もう離れなくていいの……?」
「そうだよ?」
肯定を何度も繰り返してくれる彼。
「……っ……私……私、葉月くんと一緒に暮らしたい────!」
葉月くんといつも一緒にいられるなら、きっと身体が離れても寂しくない。
葉月くんのそばで、葉月くんにいつでも触れられる距離にいられるなら。
……そう、あの頃みたいに。
いつも一緒にいた頃みたいに────。

