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宵闇
第17章 光と闇と

僕の中にある想い。
ただひたすら純粋に琴音を愛する気持ち。
そして──もうひとつ。
そうではない……例えれば闇の色にも似た、暗い気持ち。
好きな人が幸せならそれでいいと──たとえそこに自分の存在がなくてもそれでもいいと思う……そこまで思えるそういう感情を愛だというのなら。
──僕のそれは、そんなきれいなものじゃない。
『ただ、そばにいたい』
琴音とこうなる前の僕のその気持ちに嘘などなかった。
本当にそう思っていた。
……けれど────。
すべてを僕のものにした今。
琴音が僕だけのものになってくれた今。
琴音の幸せはもちろん望むけれど、そこに僕の存在がなくてもいいだなんてもう思えない。
僕の存在がない琴音の幸せなんてもう望めない。
そんなぐちゃぐちゃした想いが常に僕の中にはあるんだ。
もういっそ、その存在が誰の目にも触れることのないように。
その心が誰にも惑わされることのないように。
僕のそばから離さずに。
僕のそばにずっと閉じこめて。
僕しか見られないようにして。
……そんな後ろ暗い欲望が、常に。

