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宵闇
第17章 光と闇と


報われることなどないのであろう、と琴音への想いを心の中だけで秘かに抱いていた数年間。
ずっと……ずっと僕は思っていた。

琴音の心も。
琴音の身体も。
……すべてが僕のものだったらどんなに幸せだろうかと。

一度だけ──それですべてをなくすとしても、せめてそれだけでも、と。
心が無理なら身体だけでも、と考えたこと、一度や二度なんかじゃない。

そして、その一度の記憶を。
それだけを勝手に自分の支えにして……そうやってそれから先を生きていこうかとも思った。


それはとうてい無理な話だったと──そうわかったのは琴音を初めてこの手に抱いたあの夜だ。

知ってしまったら、一度で満足なんてとてもできやしない。

そう──また次が、欲しくなる。
次を一緒に過ごせば、またその次が。
その欲望は、きっと消えない────。


セックスが生殖行為だけのものならば、きっと単純なのに。
簡単なのに。


身体を繋げたいという欲求。
奥深くまで入り込みたい、侵したいという衝動。
そしてそれに伴う快楽────。

それを知ってしまったら、もうそれから目を背けることなどできやしない。

好きな気持ちが大きければ、大きいほど。
きっとなおさら────。


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