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宵闇
第17章 光と闇と


「だから──僕と一緒になって、ってことだよ?」


一語一語、ゆっくりと。


「……いっしょ……?」


ぱちぱちと瞬きを繰り返す彼女の瞳が、みるみるうちに潤んでくる。


「……っ……なれるの……?」


現実にようやく戻ってきたかのような反応を見せた琴音を僕は抱き起こした。
そのまましがみつくように強く抱きついてきた彼女を抱き締め返し、再度願った。


「なってくれる?」


息を飲む、気配。
う……と何とも言えない声を漏らしながら、それでもしっかりと


「なりたい……!」


そう、言ってくれた。


「──うん。なろう?」


何度も頷く彼女。
愛おしい、僕の琴音。


「葉月くん……好き……!」

「僕も。好きだよ、琴音」


耳元で、何度も彼女に愛を告げた。

そう──もう二度とほかの誰かの声に惑わされたりしないように。
これが僕の声だよと、琴音の耳に刻みつけるように、何度も、何度も。


「好き……」


琴音が呟きながら僕に口づけてくる。
紅く色づいたその唇は僕を誘うかのように薄く開かれている。
唇を重ねながら悩ましく僕を見る彼女から匂い立つ色香。

……ぐらぐらする。

抗えない──その誘い。


溺れる。
どこまでも、琴音に。


君を誰にも見せないように閉じ込めるなんて──そんなことできやしないことぐらい、よくわかってる。

でもせめて、こう思うことだけは許して。


僕の想いの檻の中。
そうとは気づかせないまま、死ぬまで君を閉じこめる。 
そこで君が感じられるのはただ、僕に深く愛されているというそんな甘い幸福感だけ────。


……ああ。
愛しているよ、琴音。


想いが強すぎて。
どうしようもなく深すぎて。
そんな言葉だけでは言い表せないと、そう思うほどに。

この感情をどう表したらいいのか。
自分でももうわからなくなるほどに────。







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