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宵闇
第20章 条件


「それから一緒に暮らし始めて1か月ぐらい経った頃かしら。
……やっぱり再婚はやめた方がいいのかな、って正直思ってたのよ」

「え?」


私は、そんなこと初耳で。
だってみんな仲良くやれてるって、そう思ってたから。
慣れない生活ではあったけど、でもママが幸せになれるなら、ってだんだんそんなふうに思えるようになっていってたから。


「琴音」


名前を呼ばれ、はっとしてママを見る。


「琴音にとっては本当に大変だったと思うわ。
知らない男の人たちと、いきなり一緒に住むことになったんだもの」

「え……」

「それまでずっとママと二人だったのにね」


その言葉に、どくん……と心臓が大きく波打った。


「……ママと琴音の二人っきりの生活だったのにね」

「ママ……」


──気づいてたんだ。


私は、初めてそれを知る。
隠してたつもりだったけど、ママは全部わかってたんだと。


「……わかるわよ。何年一緒に暮らしてると思ってるの」


私の頭の中を覗いたかのような、笑い混じりの言葉。
じわじわと、こみ上げてくるもの。


「琴音、普通にしようって頑張ってくれてたよね。
お父さんにも、葉月くんにも、話しかけられるとちゃんも笑顔で丁寧に答えてて」

「…………」

「ママ、いつも以上に気をつけて琴音を見てたから、すぐわかった。
……琴音が時々寂しそうな顔してるの」

「……だって────」

「ん?」

「だってこれからはもう私だけのママじゃなくなるんだから、って……そう自分に言い聞かせたりしてたから……」

「……そうね」


ママが、深く息を吐く。


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