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宵闇
第22章 epilogue


その、甘くとろけるような時間は、やがて終わりを告げた。


行為のあと、呼吸が落ち着いた琴音はゆっくりと起きあがる。
這うように窓辺へと近づき、つつ……と手の甲でカーテンをすくうように少し開いた。


「やっぱりきれい……」


そう呟く彼女はとても、きれいで。


「……だから見られるってば」


思わず見とれてしまった自分を戒めるように慌てて口にし、シーツを手に琴音に近づく。
後ろから抱き締め、琴音の綺麗な裸体を隠すように彼女ごとシーツを纏った。


「身体、平気?」


顔を覗き込むようにして聞くと、琴音は視線を合わせ、でもすぐに恥ずかしそうに頷いて、それから小さく笑った。

……可愛くてたまらなくて。
僕はそのまま琴音の唇をそっと奪う。


「……私ね」


離れたその唇が、静かに言葉を紡ぎ出す。


「葉月くんの名前、すごく好きなの」

「え?」

「きれいなんだもん」

「……そう、かな?」


少し照れくさくてそんな返事になってしまったけど、琴音は月を見たまま頷いて


「その名前のとおりだなあって思って」


そう、続けた。


ん? と琴音の顔を覗き込み、その意味を問う。
僕に体重を預けるように凭れ掛かってきた彼女は、だってね──と再び口を開いた。


「私がどんなに落ち込んだり悩んだりしてても、いつも助けてくれるでしょう? 
そうやって私の気持ちを明るくしてくれるから」


ふふっと笑う、その清らかな表情。


「だから……葉月くんにその名前すごく似合ってるし……好き」


うっとりするように、目を閉じる。


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