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宵闇
第22章 epilogue


琴音────。


僕は君を照らせていたの?
僕も……君を救えていたの?


そうやって君はいつも僕の心を満たしてくれて。


「……僕だって琴音にいつも救われているよ」


彼女の言葉につられるように無意識のうちに開いていた口。


「私に?」


琴音が、目を開けて僕を振り返り


「葉月くんが?」


と、首を微かに傾げる。
不思議そうに。


「そうだよ?」


笑みを浮かべて彼女を見ると、その視線を受け止めた彼女もまた微笑んで、そのまままた月を見上げた。


「……ずっと、夜がくるのが嫌いだったんだ」


ぎゅっ……と琴音を抱くその手に少し力が入った。


「……夜がきて、あたり一面が暗くなると、それに呑み込まれてしまいそうで」


独り言のように呟く。


「まるで取り込まれてしまいそうな」


そんな、深い闇────。


「……でもどうしたらいいかわからなくて」


どこに行けばいいのかわからなくて。


「そのときの自分の気持ちと……なんだかあまりにも重なりすぎて」


でも、逃れる術などどこにもなくて。
ただひたすらに堕ちていくようで。


「つらくて」


小さく漏らした息。


「……苦しくて────」


震えてしまった声。


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