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宵闇
第22章 epilogue
「 琴 音 」
ゆっくりと、呟く。
……ほら、やっぱり。
優しい気持ちが心に満ちてくる。
僕は微笑んだ。
君が僕の名前を好きだと言ってくれたように、僕も君の名前が好きだと伝えよう。
まずは、そこから────。
「……大事にするよ」
琴音の髪にそっと触れ、誓うように唇を寄せる。
琴音のこと。
そして、僕のこと。
「大事にするから」
僕のすべてはもう琴音のものだから。
だから──大事に、する。
「……たくさん話そうね」
話して
見つめあって
口づけて
身体を重ねて
……増えていく、好きを大事にして。
そうやって──僕たちはずっと一緒に生きていく。
「……愛してるよ」
その言葉を受け止めてくれる相手がいること
その言葉を伝えてくれる相手がいること
それは、当たり前ではないから
きっと、奇跡に近いことだから
君が与えてくれるその幸せ
君に与えられるその幸せ
そう──ひとりじゃなくて、ふたりで。
君が教えてくれたそのことを、僕は一生忘れない。
fin.