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宵闇
第5章 紅
感情に任せるがまま、ひたすらに泣いて。
やがておさまりかけた涙に、ゆっくりと身体を起こす。
──下着が、気持ち悪かった。
着替えようと立ち上がり、制服を脱ぐ。
足に力が入らずにふらつく身体に溜め息をついた。
脱いだショーツの内側には、赤い染み。
「……も、やだ……」
唇を噛み、その汚れたショーツを丸めて、部屋にあった紙袋の中に入れた。
そのままゴミ箱に捨てる。
新しいショーツを履くとき、念のためにナプキンをあてた。
脱いだ制服のスカートをハンガーにかけようとしたとき、しわがかなりついているのに気づき、また泣きたくなった。
さっきの出来事にまた意識を持っていかれそうになり、頭を振って追い出した。
「……アイロン、かけなきゃ」
溜め息は、その準備をしている間も。
アイロンをかけている間も、何度も、何度も。
悲しい。
でも、何が悲しいのかもやっぱりよくわからないでいた。
きっと、もうすべてがそうなのだろう。
今の私には、悲しさと悔しさと……自分に対する苛立ちと──そんなものしか、ない。
スカートのしわは、アイロンで消える。
身体の傷も、いつかは消えるんだろう。
けれど心につけられた傷はきっと消えない。消せない。
ずきずきと痛みを訴えている私のすべて。
……また一粒、涙がこぼれた。