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宵闇
第2章 兄と妹


家に着いて玄関に入ると、そこには見慣れない女物の靴が二足あった。


ただいま、と言いながらリビングへと向かうと


「遅かったな」


僕の姿を見た父がそう言ってソファから立ち上がる。
向かい側に座っていた女性と女の子も同様に。


彼女が、父の再婚相手の雪乃さん。
確か40歳だと聞いた。
すでに会ったことは何度かあり、雰囲気の優しさに好感を持っていた。
うちと同じく、死別で母子家庭になったらしい。


「今日からよろしくお願いします」


頭を下げて挨拶すると


「こちらこそよろしくね、葉月くん」


雪乃さんは微笑んで答えてくれた。

看護師をしているらしく、父が、けがをした生徒を病院に連れて行ったときにふたりは出会ったらしい。


そして、雪乃さんの後ろに隠れるようにして立っている小柄な少女。
会うのは初めてだった。


「あ、娘の琴音よ。
今、中2だから葉月くんの2つ下かな」


雪乃さんの言葉に、緊張した表情で少女が僕を見る。
大きな瞳が印象的な子だった。


「これからよろしくね、琴音ちゃん」


声をかけると彼女は戸惑いがちに頭を下げた。



──こうして、僕たち四人の生活は始まった。




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