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宵闇
第6章 揺れる


「……ここだったよな」


不意に口を開いた先輩。
その視線の先にあるのは、あの雨の日の公園だった。

先輩はそのまま公園の中へと入って、私に傘を差しだしてくれたあの場所で立ち止まる。


「あのとき、雨宿りしてる琴音見つけて、これってチャンスじゃんって思ったんだ」

「え……」

「琴音が陸部のマネージャーとして来たときから可愛い子だなって思ってたからさ」


そう言って振り向く。
私を、見る。


「……俺のこともういやになった?」


思ってもいなかった言葉に戸惑っていると


「別れたい?」


そう続けられた。


「え……」


先輩と、別れる────?


……頷くことも、首を振ることもできなかった。
昨日のことでただでさえいっぱいいっぱいなのに、突然そんなことを言われて、もう頭の中がぐちゃぐちゃで、何をどうしたらいいのかもわからないでいた。


黙って俯くしかできないでいた私に、先輩が再び言葉を発する。


「……俺、謝んねーからな」


独り言のようにも聞こえたそれが耳に入った途端、一瞬にしてこみあげてきたもの。
涙になって、溢れ出す。


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