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宵闇
第6章 揺れる
「私、待ってって言ったよ? 何回も、やめてって言った……!」
そのまま口をついて出た思い。
「なのになんで!? なんであんな無理矢理────」
「琴音がどっか見てっからだろ!」
私の訴えを遮り、先輩が声を荒げた。
思いもよらなかった言葉に息を飲んだ私を見据える、先輩の目。
え……と思わず零れた言葉は微かな呟きでしかない。
意味がわからなかった。
どこか見てるって──私が?
……どういうこと?
「不安だったんだよ……」
先輩は私を見たまま、その整った顔をつらそうに歪ませる。
「付き合ってんのに琴音が遠くて。
なんてゆーか……線引かれてる感じ?」
「そんな……!」
違う、と首を振る。
だって私、そんなこと考えたこともない。
そんなつもりなんてまったくなかった────。